大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)41 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由は別紙のとおりである。

上告人の上告理由(一)について。

原審の口頭弁論調書によれば、昭和三一年三月一二日の弁論期日に、被控訴代理

人は控訴棄却の判決を求め、当事者双方は第一審における口頭弁論の結果を陳述し

他に主張立証がない旨を述べているのであるから、所論準備書面が控訴人(上告人)

に送達されていなくとも、所論のように被控訴代理人が控訴理由を全面的に承認し

たことにはならない。論旨は理由がない。

同(二)について。

論旨は、最高裁判所の判例を援用して、行政処分の適否は、判決時を基準として

判断すべきではなく処分時を基準として判断すべき旨を主張するのであるが、本件

のように訴の利益を欠く場合には、処分の適否を判断しないのであるから処分適否

の判断の基準時を問題にする余地はなく、原判決に所論のような違法はない。

同(三)について。

論旨援用の名古屋高等裁判所判決は、本件と全く場合を異にするものであつて、

原判決には所論の違法はない。

同(四)について。

論旨は、本訴は、所有権移転を妨げている行政処分が適法であるか否かについて

判断を求める行政訴訟であるというのであるが、所論のように所有権移転を妨げる

行政処分を無効と判断しても、農地法施行のため当初の農地売渡計画は効力を失い

当然に上告人に農地の所有権が移転することにはならないし、また、所論の行政事

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件訴訟特例法一一条は全く関係がなく、論旨は理由がない。

同(五)について。

論旨は、自作農創設特別措置法一八条、二〇条の規定は、農地法三六条、三八条、

三九条の規定に相当する規定であり、農地法施行法一三条によつて旧措置法による

農地売渡計画は、農地法施行後もなお、効力を有するのであるから、右計画の取消

処分の効力を争う本訴は、現在もなお法律上の利益がある旨を主張する。しかし、

農地法施行法一三条は、旧法によつてした「処分、手続その他の行為は、農地法又

は同法に基づく命令中にこれに相当する規定があるときは、これらの規定によつて

したものとみなす」としているけれども、原判示のように、農地法には右措置法一

八条の売渡計画の規定に相当する規定がないのみならず、右施行法一三条には「第

二条から前条までに規定するものを除く外」とあり、売渡に関する経過規定は同施

行法三条で定められているのであるから、一三条を適用するの余地はない。のみな

らず農地売渡計画に関する訴願裁決の取消を求める訴が農地法の施行によつてその

利益を失うことは、当裁判所の判例(昭和三〇年(オ)第四五九号同三三年四月一

一日第二小法廷判決、集一二巻五号七六〇頁)とするところであつて、本件は、取

消処分の取消を求める訴ではあるが、問題は同じことであつて別異に解すべき理由

はない。論旨は、独自の見解であつて採るを得ない。

以上説明のとおり本件上告は理由がないからこれを棄却することとし、民訴四〇

一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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